くまもと文学・歴史館

―文学と歴史でたどるくまもとの記憶―

 熊本は九州のほぼ中央に位置し、古くから行政、交通、経済の要としての歴史を歩んできました。多彩な歴史を背景としつつ、阿蘇や天草に代表される豊かな風土に育まれた文学も数多く残されています。文学や歴史はともに地域を知るための道しるべです。先人のたゆまぬ努力により、いまに伝えられた資料をもとに、ふるさと“くまもとの記憶”をたどります。
肥後国絵図

肥後国絵図(17世紀なかば)

◆文学

 

  当館が展示・収集対象としているくまもとゆかりの32人の文学者を中心に、自筆原稿や遺品などを順次紹介しています。

小泉八雲1850-1904小説家、随筆家、日本研究家
徳富蘇峰1863-1957ジャーナリスト、歴史家
夏目漱石1867-1916小説家、英文学者
井上微笑1867-1936俳人
徳冨蘆花1868-1927小説家
戸川秋骨1871-1939作家、翻訳家、英文学者
渋川玄耳1872-1926ジャーナリスト、俳人
篠原温亭1872-1926作家、俳人
松岡荒村1879-1904詩人、評論家
種田山頭火1882-1940俳人
宗不旱1884-1942歌人
長田秀雄1885-1949劇作家、詩人
宮部寸七翁1887-1926俳人
長田幹彦1887-1973小説家
高群逸枝1894-1964詩人、女性史研究家
小山勝清1896-1965小説家
徳永直1899-1958小説家
蔵原伸二郎1899-1965詩人
中村汀女1900-1988俳人
平川虎臣1903-1969小説家、詩人
蓮田善明1904-1945国文学者、歌人
小山寛二1904-1982小説家
耕治人1906-1988詩人、小説家
荒木精之1907-1981小説家、歴史家
木下順二1914-2006劇作家
淵上毛銭1915-1950詩人
安永蕗子1920-2012歌人、書家
上村占魚1920-1996俳人、漆工芸家
竹崎有斐1923-1993児童文学作家
谷川雁1923-1995詩人、評論家
石牟礼道子1927-2018小説家、歌人
光岡明1932-2004小説家

小泉八雲


夏目漱石


石牟礼道子

◆歴史

 県立図書館が所蔵する古文書・絵図を順次展示していきます。熊本県指定重要文化財の肥後国検地諸帳や、人吉藩と藩主家の相良氏に係る古文書・相良文書、熊本県に遺された公的記録群・熊本県公文類纂、熊本藩の絵図などがあります。
 
[主なコレクション]

肥後国検地諸帳

(※熊本県指定重要文化財)

(17世紀前半)


相良文書

(17世紀中ごろ)


熊本藩の絵図

(18世紀後半)


熊本県公文類纂(県政資料)

(19世紀後半)

※展示物は順次入れかわります。

【フロアマップ】

くまもと文学・歴史館
①展示室1
②展示室2
③展示室3
④ロビー
⑤喫茶コーナー(自動販売機)
⑥旧砂取細川庭園
◎トイレ(多目的トイレがあります)

【展示室】

展示室1
①展示室1)
くまもとゆかりの古文書や絵図、作家の原稿などを紹介する収蔵品展や、企画展を開催します。
展示室2
②展示室2)
17世紀から現在までのくまもとの文学の流れを、歴史的背景とともに紹介します。


※企画展開催時にはご覧いただけない場合があります。
展示室3
③展示室3)
大きな窓から旧砂取細川庭園の眺望をお楽しみいただけます。また、くまもとの文学や歴史に関する映像を自由にご覧いただける映像コレクションがあります。

【旧砂取細川庭園】

 当館に隣接するお庭は、阿蘇からの伏流水が湧き出た清冽な水をたたえる細川家の砂取邸の庭園です。熊本藩10代藩主細川斉護の正室顕光院(益)は、この風景を愛でながら晩年を過ごしました。明治10年(1877)の西南戦争後、砂取邸は一門の細川内膳家の邸となりましたが、大正末期から戦前にかけては料亭江津花壇として、多くの文人に親しまれました。
 
旧砂取細川庭園 春
旧砂取細川庭園 冬
 庭園は、季節ごとにさまざまな表情をみせてくれます。春には梅や桜、初夏の蛍、秋の見事な紅葉、冬には幻想的な朝靄(蒸気霧)も。細川家の庭園の姿をそのまま遺すお庭をぜひゆっくりとご堪能いただければと思います。

【水前寺・江津湖の自然】

 当館の近くでは、たくさんの湧水を見ることができます。その恵みを象徴する江津湖は、この湧水地点を囲むように堤防を築いて作られた人口の湖です。水辺の豊かな眺めは人々を惹きつけ、江戸時代、藩主の保養のために水前寺成趣園がおかれたほか、明治時代以降は多くの文学者もこの地を訪れました。五高(現在の熊本大学)の英語教師であった夏目漱石(小説家)は、川下りの風景を気に入り、いくつもの俳句を作っています。現在は、熊本市民の憩いの場所として親しまれています。
江津湖